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2018年05月08日

その128 軽口は叩かない

子曰わく、古者(いにしえ)、言(ことば)を之れ出(いだ)さざるは、躬(み)の逮(およ)ばざるを恥ずればなり。

【筆者意訳】昔の人が、何事につけても軽々しく言葉を口にしなかったのは、やることが言うことに及ばないことを恥じたからである。

【筆者意訳】この章句は、『論語』里仁編に出てきます。
孔子は言葉よりも実践を重視しましたので、同じような趣旨の言葉が『論語』の中にも沢山出てきます。
例えば、「君子は其の言の其の行いに過ぐるを恥ず」(その39 言葉より行い参照)、「君子は言に訥にして、行いに敏ならんと欲す」(その84 言葉より行動参照)などです。

「言うは易く、行うは難し」という諺がありますが、昔も今も変わらない人間の特性のようです。
自分が言ったことは実行するということが、自分の言葉に責任を持つということですから、軽々しく発した言葉が、いざ実行の段になって出来ないというのは、自分の言葉に責任を持てないことです。これは恥ずかしいことだと言っています。

江戸時代の武士は、「武士に二言はない」と言って信義を誓いました。武士は一度口に出したことは取り消したり、約束を破るようなことはしないという意味です。武士道では「誠」を徳目の一つとしましたが、この文字は「言」と「成」という字から成り立っていますので、’言ったことを成す’つまり’有言実行’の意味合いを持っています。ここから「武士に二言はない」という言葉が生まれたということです。それほど武士は、一度口に出したことを違えることを不名誉と考えていたのです。

現代の私たちは、ともすれば言葉の重みを忘れてしまうことがありますが、孔子が恥と言い、武士が不名誉と考えた、「言動と行動の不整合(不一致)」ということについては、もっと敏感になることが必要かもしれません。


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