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2018年12月21日

その350 孔子の生活(その3)

康子(こうし)、薬を饋(おく)る。拝して之を受く、曰わく、丘未だ達せず、敢て嘗(な)めず。

【筆者意訳】季康子(きこうし)が孔子に薬を贈った。孔子は、病中拝礼してこれを受け取り、「頂いたお薬が、私の病気に適するかどうか分かりませんので、すぐに服用することは控えさせていただきます。」と言った。

【ひとこと】この章句は、『論語』郷党編に出てきます。
季康子は魯国の筆頭家老で、孔子に近い人でした。孔子が流浪の旅から魯国に戻ったのも、季康子の招きによるものでした。その季康子からの厚意でしたが、孔子は感謝しつつもすぐに服用することはしませんでした。

この行為は、我々日本人の感覚からすると、折角の厚意に対して失礼ではないかと感じるところがあるのではないでしょうか。【筆者意訳】で私は、日本人感覚に沿って「すぐに服用することは控えさせていただきます」と訳しましたが、原文の表現は「あえて服用しません」となっていますから、もっと強い意思が入っているものだと思います。

この辺りは、日本人と中国人の気持ちの違いになるのでしょうが、孔子は、受けた行為に対してはちゃんと謝意を示したうえで、自分の考えをはっきり伝えているのです。
私たちは、相手の厚意と自分の考えが異なる時に、あいまいな表現で済ますことが多いのですが、阿吽の呼吸で通じる範囲であればまだしも、外国の人から見ると誤解をされるかもしれません。
厚意は厚意として感謝して受け、自分の考えは伝えるという孔子の姿勢には、特に現代のような国際化社会の中では見習うべきものがあるのではないかと思います。


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