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2018年11月04日

その303 上司の徳、部下の徳

定公問う、君、臣を使い、臣、君に事うること、之を如何にせん。孔子對(こた)えて曰わく、君、臣を使うに礼を以てし、臣、君に事うるに忠を以てす。

【筆者意訳】魯の定公(ていこう)が孔子に、「君主はどのように家臣を扱い、家臣はどのように君主に仕えるべきだろうか?」と聞いた。
孔子は、「君主は礼節をもって家臣を扱い、家臣は忠心をもって君主に仕えるべきです」と答えた。

【ひとこと】この章句は、『論語』八佾編に出てきます。
この章句は孔子が50代の前半、魯国の王・定公に登用されて実績を挙げ、信頼を得た頃の話と思われます。
魯国の王・定公からの、”君主が家臣を使い、家臣が君主に仕える心構えはどうあるべきか”との問いかけに孔子が答えたものです。
孔子の答えは、”君主は家臣を人間として礼節をもって遇し、家臣は君主に対し人間としての誠意をもって仕える”というものでした。「礼節」も「忠(=信)」も「徳」の要素です。下から上だけでなく、上から下への徳も必要だと説いているわけです。
孔子の時代は、家臣に対する君主の権力は絶対的なものでした。そうした状況のもとで、家臣に対する君主の礼に言及したのは、きわめて進歩的なものだと言えるでしょう。

この話は、現代の上司・部下の関係に於ても参考にすべきものがあります。
上司が部下を使うときには、とかく高圧的になりがちです(最近は、上から目線と言いますね)。礼節(=礼儀)に関しても、部下が上司に対する礼儀については厳しく指導されますが、上司が部下に対する礼儀についてはあまり言われないのではないでしょうか。ですから、上司が無意識でやっていることが、案外と部下の自尊心を傷つけていることがあるのかもしれません。
もちろん上司は部下を指導教育すべき立場ですから、時には叱ることも必要でしょう。しかしどんな時でも、例え相手がどんなに若かろうと、地位が低かろうと、同じ人間として、礼節をもって接することが必要だということですね。


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