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2018年03月28日

その88 益者三楽・損者三楽

孔子曰わく、益者三楽、損者三楽。礼楽を節せんことを楽しみ、人の善を道(い)うことを楽しみ、賢友多きを楽しむは、益なり。驕楽(きょうらく)を楽しみ、佚游(いつゆう)を楽しみ、宴楽(えんらく)を楽しむは、損なり。

【筆者意訳】人生において、有益な楽しみが三つ、有害な楽しみが三つある。礼節と音楽によって自己を磨く楽しみ、人の美徳を噂する楽しみ、多くの賢い友と交わる楽しみは有益だ。享楽に耽る楽しみ、怠けて遊ぶ楽しみ、酒盛りに耽る楽しみは有害だ。

【ひとこと】この章句は、『論語』季氏編に出てきます。昨日紹介した章句と同様に、スリーポイントを挙げて語っている文章です。
ここでは孔子は、人生の楽しみ方を、自己にとって有益な楽しみ方と、自己を損なう楽しみ方の代表的なものを、夫々三つ取り上げて語っています。よく読んでいくと、有益な楽しみ三つは何れも精神的な充足をもたらすものだと気づきます。

反対に有害な楽しみ三つは何れも肉体的な快楽や精神的な安逸をもたらすものです。しかしそれは一時的なもので、後には精神的な無力感・虚脱感に襲われることが多いものです。無力感・虚脱感に襲われて、普通は、”こんな事をしていてはいけない”と気付いてまっとうな道に戻るものですが、気付かなかったり、気付いても戻る勇気がなかったりすれば、奈落の底に墜ちるしかないでしょう。

江戸時代の詩人、橘曙覧の詩に、「たのしみは/紙をひろげてとる筆の/思いの外によく描けし時」というのがあります。自分の世界に楽しみを見出すことはいくらでもできるという、良い事例だと思います。
享楽・遊興・酒盛りが悪いわけではありません。あくまで一時的な楽しみ、リフレッシュのための楽しみと心得て臨むことが肝要なのだと思います。更には、充実した人生を送るための本当の楽しみは、心の充足にあることを理解し、自らそれを求めていく生活態度や習慣が必要ではないでしょうか。


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