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2018年08月24日

その235 腹を据える(その2)

子曰わく、天、徳を予に生(な)せり。桓魋(かんたい)それ予を如何にせん。

【筆者意訳】天は私に(乱れた世の中を正す使命を果たすための)徳を授けられたのだ。桓魋ごときが私をどうすることが出来ようか。

【ひとこと】この章句は、『論語』述而編に出てきます。昨日に続き、孔子が放浪の最中に襲われた時の話を取り上げます。
孔子一行が宋の国に向かう途中、大木の下で弟子達に講義をしていました。その時、宋の司馬(軍務大臣)桓魋の一軍がやって来て、孔子を殺そうとしてその大木を根こそぎにしたのです。桓魋は孔子のことを日頃から良く思っていなかったのです。身の危険を感じた弟子達が「急いで去りましょう」と言った際に、孔子が発した言葉です。

「徳」という言葉が使われていますが、ここではより明確にするため、”乱れた世の中を正す使命を果たすための”との解釈を付け加えました。
”天命を授かっている私が、桓魋などに殺されるはずがない”と、毅然とした態度をとりました。ここでも孔子は危難に対して少しも恐れることなく、腹の据わった態度で終始したのです。天に対する熱い信頼が伺える場面です。
孔子は14年間にもわたる放浪の生活を送りながら、様々な苦難の中でも、道徳を説く自己の節操を曲げず、信念を貫いたのです。

なお孔子の弟子、司馬牛(しばぎゅう)は桓魋の実弟です。兄の乱に関係はしていませんが、そのような兄を持ったことを常に気にしていました。子夏に励まされている場面が『論語』にも出てきます(その205/死生命あり参照)。


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