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2018年08月07日

その218 リーダーの五美

子張(しちょう)曰く、何をか五美と謂(い)う。子曰わく、君子は惠して費やさず、労して怨みず、欲して貪らず、泰にして驕らず、威にして猛からず。

【筆者意訳】子張が尋ねた、「何を五美と言うのでしょうか?」 孔子は、「立派な為政者は人民に対して、適切な給付はするがバラマキはしない、必要な仕事はさせるが不満を起こさせない、欲求はあっても貪りはしない、ゆったりと構えているが傲慢にはならない、威厳はあっても横暴にはしないものだ。」と答えた。

【筆者意訳】この章句は、『論語』堯曰編に出てきます。子張と孔子の問答です。非常に長い文章になりますので、その一部を取り出しました。
この前段に、子張が孔子に「政治リーダーに必要な事はどのような事でしょうか?」と尋ね、孔子が「五美を尊び、四悪を退けることだ」と答えた問答があります。
本日取り上げた一節は、それに続けて子張が、「何を五美と言うのでしょうか?」と尋ねたものです。

「惠して費やさず」とは、人民が求めているところに給付することで、必要を感じていないところに金をばらまくようなことをしないということです。
「労して怨みず」とは、人民が必要と感じている労働をさせることです。そうすれば誰も無理やり働かされたと怨むことはないということです。
「欲して貪らず」とは、人民の為に仁政を行おうと欲求すれば、貪るようなことはないということ。例えば国家を運営して行く上で必要な課税はするけれども、必要以上の重税は課さないということです。
「泰にして驕らず」とは、国や家の大小・貴賤で相手に対する態度を変えるようなことはしない、ということです。
「威にして猛からず」とは、身なり・言動は重々しく、厳かにするけれども、横暴に振舞うことはしない。このため人民は畏敬の念を持つようになるということです。

上杉鷹山の残した、『伝国の辞』の一節に、「国家人民のために立ちたる君にして、君のために立ちたる国家人民にはこれなく候」というのがあります。孔子の言う「五美」に通ずる政治リーダーの哲学があると思います。現代の我が国の政治家・官僚は如何?


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