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2018年07月30日

その210 働くということ

子曰わく、君子は道を謀(はか)りて食を謀らず。耕すも餓えその内に在り。学べば禄その内に在り。君子は道を憂えて貧しきを憂えず。

【筆者意訳】君子は人の道をいかに究めるかを考えるが、食を如何にして手に入れるかは考えない。耕作をしても時には飢えることがあるものだ。しかし学問をして道を究めて行けば、(人格を認めてくれる人が現れて)おのずから俸禄も得られるようになる。だから君子は、道を究められないことを心配するが、貧しくなることは心配しないのだ。

【ひとこと】この章句は、『論語』衛霊公編に出てきます。少し長い文章ですが、大切なことを言っています。
「食」とは、直接的には食べていくこと=食料やお金ですが、眼に見える物質的なものと考えていいでしょう。
「道」とは、意訳では、人の道=人としての正し生き方としましたが、眼には見えない心のありかたと考えてもいいでしょう。
孔子が言っていることは、眼に見える物質的なものに執着するのではなく、心を養い錬磨することに努めなさいということです。

「あなたは何のために働くのですか?」と問われたらどう答えますか?
「生活していくため」、「妻子を養うため」、「自分自身の成長のため」・・・色々な考えがあるでしょう。
しかし、よく考えてみましょう。何故仕事があって、仕事をすることによってお金が得られるのでしょうか?
それは世の為人のために役立つことをしているから、つまり世の人々や社会の為に働いているからなのではないでしょうか。そう考えれば、仕事とは、「より良い社会を創っていくための一端を担うこと」との考えに至ります。人生の目的は、”仕事を通じて世のため人のために役立っていくこと”と言うことも出来ます。
そして、社会に役立つ仕事をしていけば、「禄その内に在り」なのです。

本章句最後の、「君子は道を憂えて貧しきを憂ええず」をこの文脈で解釈すれば、”心ある人は、自分を社会の為にどのように役立てていくべきかを考えて働けばいい、貧乏にならないためになどと考えて働くようなことはしなさんな”ということですね。


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