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2018年06月25日

その175 心を込めて接し、送り、偲ぶ

孟懿子(もういし)、孝を問う。子曰わく、生けるには之に事(つか)うるに礼を以てし、死すれば之を葬るに礼を以てし、之を祭るに礼を以てす。

【筆者意訳】孟懿子が孝行について尋ねた。孔子は「親が生きている間は親を大切にし、親が亡くなった時は心を込めて葬儀をし、年忌には家族が集まって法要を営む。この三つの礼節を守ることが親孝行だ。」と答えた。

【ひとこと】この章句は、『論語』為政編に出てきます。孟懿子という人は、魯国の貴族階級の家長、”その173”で紹介した孟武伯の父にあたります。その人物と孔子との親孝行に関する問答です。
「礼」が各所に出てきて堅苦しい印象ですが、孔子は形式ばった葬儀や法要をせよとは言わないはずですから、親は心を込めて接し、送り、偲べというのがこの章句の趣旨だと考えられます。我々日本人の習慣に合わせて意訳しました。

古代中国では、死んだ人間の身体は、精神が「魂(こん)」に、肉体が「魄(はく)」に分かれると考えられていました。「魂」が抜けた「魄」はお墓に埋葬されますが、何十年か先には「魂」は「魄」に戻り、生まれ変わると考えられていました。その為には、それまでの間、「魄」は子孫によって大切に祀られることが必要でした。もし子孫が祀りを怠ると、「魂」は「魄」に戻ることが出来なくなり、怒りを持った悪霊となって子孫に祟ると考えられていたのです。
ここから、親に対する孝行は、生前だけでなく、亡くなった後も祖先として祀ることが孝行と考えられたのです。ちなみに我が国の仏教における法要も、ここに由来していると言われています。


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