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2018年03月31日

その91 君子不器(その1)

子曰わく、君子は器(うつわ)ならず。

【筆者意訳】できた人物は、使い道が決まっている器のようなものではない。

【ひとこと】この章句は、『論語』為政編に出てきます。原文では「子曰、君子不器。」とたった六文字で表現される章句ですが、大変有名なので知っておられる方も多いでしょう。
「器」という漢字の意味を辞書で調べると、二つの意味があります。一つは容器、物を入れる用具です。もう一つは人間の才能や能力です。度量の広い人を表現するときに、”あの人は器量が大きい”などと言いますね。

この章句では、容器に例えて人の能力を語っています。容器は使い道が決まっています。花瓶は花を挿すための容器です。お茶碗はご飯を盛り付けるための容器です。花瓶でご飯を食べる人はいませんよね。孔子はそれを人に例えて、言われたことしかできない、応用が利かない人の事を「器」と言っています。
これに対して、出来た人物(君子)は、幅広い才能や能力を持っていて応用が利くということです。君子は人の上に立つべき人物ですから、言われなくても自分で判断して動ける能力を持っていないといけないわけです。模範解答のない応用問題を解く力が必要なのです。孔子はそこを「器ならず」と言っているのですね。

器といえば、良い茶器を見分けるポイントに、茶碗の深さがあるそうです。それを「見込み」と言います。良い茶碗は実際よりずっと底が深く見えるそうです。底が深く見える茶碗、つまり見込みが深い茶碗のことを、「見込みがある」と言います。期待できそうな人物を評価して、”あいつは見込みがある”などと言いますが、それはここから出た言葉だそうです。我が国には、「一期一会」など、茶道が由来となった言葉も沢山ありますが、これもその一つなのでしょうね。


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