2018年02月26日

その58 巧言乱徳

子曰わく、巧言は徳を乱る。小忍ばざれば、則ち大謀(たいぼう)を乱る。

【筆者意訳】口先だけで綺麗ごとを言うのは、徳を損なうことになる。小事を耐え忍ばなければ、大事など為せる筈がない。

【ひとこと】この章句は、『論語』衛霊公編に出てきます。「巧言乱徳」という熟語の由来となった章句です。
孔子は言葉を非常に大切にしました。『論語』には他にも、「言必ず信(言葉には決して偽りが無い)」、「言忠信(言葉にまごころがこもっている)」、「言を知らざれば、以て人を知ること無きなり(言葉を知らなければ、人をを深く理解することはできない)」など、言葉に関する文章が沢山出てきます。

イ(にんべん)に言(ことば)と書いて「信(まこと)」という文字になります。人の真心(まごころ)は言葉によって表されるものですから、どのような言葉を発するかは、その人の真心を推し量るものとして大切にしたのです。
ですから孔子は、安易に言葉を使うことを戒めました。「巧言」というのは、心にもないことを口先で言うことですから、言葉に心がこもっていない、即ち「信」の徳が足りないということになります。当然人からの信用も失ってしまいます。他にも、「巧言令色、鮮し仁」という章句がありますが、同じことを言っています。

後半は、小さなことは我慢をする、またはこだわらないということです。ちょっと気に食わないことがあるとすぐカーッとなって当り散らしたり、些細なことですぐ頭にくるようでは、 大きなこと、大事なことは、出来っこないということですね。これはに身に覚えのある方もいらっしゃるでしょう。気を付けたいですね。
こういうことをサラッと言ってしまうのが、孔子のすごいところだと思います。


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